白山写真ギャラリー

白山花模様出版にあたって 2002/05/03


このたび「白山花模様」と題して、写真集の出版と作品展を開催することになりました。今度発表する作品は、白山の花ばかりで構成しています。
いままでと違う試みのため、皆様にどのような評価を受けるか、不安ですが楽しみでもあります。

既存の高山植物の写真は、どちらかというと図鑑的な撮り方がされてきました。つまり、葉とか環境まで良くわかるような撮り方です。しかしそのような撮り方では、どんなに美しく撮影できたとしても、誰が撮っても同じような、悪く言えばオリジナリティーのない写真になりがちです。
高山植物は、高山という特殊な環境に咲いているため、その環境を描写すること自体に意味があり、人の心を打つこともできます。しかし、高山という舞台装置にたよるだけでは、写真家の自己表現である作品としての価値には限界があります。
そのせいでしょうか。高山植物の図鑑(実用書)はたくさん出版されていますが、高山植物だけで構成された作品集は少ないのが現状です。私はこのことに気が付いたとき、高山植物においては、新しい写真表現ができる可能性が残されていると思いました。

ところで、温室や花壇に咲く花を題材とする場合は、環境描写にとらわれない柔軟な表現で多くの作品が発表されているのに、高山植物を題材としたこのような表現が少ないのはなぜなのでしょうか。おそらく、高山というあまりにもすばらしい舞台装置のせいではないでしょうか。
温室に咲いている花は、その生育環境を描写することでは人の心を打つことはまず不可能でしょう。だから、温室の花の撮影は、最初から環境描写に頼ることはできないのです。
ところが、高山という場所は本来ドラマチックな要素を持っているものですから、高山に咲いていることを描写するだけで、それなりの作品になります。逆に、高山という舞台装置の個性はあまりにも強いので、それを無視して作品を作るのは、難しいのだと思います。

高山植物に花壇の植物の撮り方をそのまま適用するのは無理があります。高山植物を採ってきてスタジオで撮影してしまうと、どんなに高度な技術を駆使しても、どんなに美しく撮影できても、高山に咲く花を題材にする意味がなくなってしまいます。
私のテーマは、高山植物を通じて自己表現を行うことに加えて、高山に咲く花でなければ表現できない何かを撮ることでした。このようなことを考えて、試行錯誤してまいりました。今回の写真集と作品展は、ここ数年間の成果のまとめです。
「まとめ」と言いましたが、実は今、高山植物を通した別の表現に向けて構想を練っているところです。今回の写真集と作品展は、この新しいテーマに移る節目でもあります。

話はかわりますが、昨今の不況で写真集のような、ある意味でなくても良い書籍の売れ行きは極めて不調です。有名な作家でも、写真集を出版して経費を回収することは難しいそうです。私の写真集も出版社の名入りではありますが、実質は自費出版です。
とは言っても、今までの成果を発表したい気持ちはやはり強いのです。そして、写真集を作れば、一人でも多くの方に手にしてもらい、次のステップのためにも少しでも経費を回収したいと思います。

こんなわけで、もしよろしかったらこの写真集買ってやってください。注文はメールで受付します。
また、昨年出版した写真集「白山」もかなり残部がありますので、こちらの注文も大歓迎です。
注文していただけましたら私のサインを入れてお届けいたします。また、直接私に注文していただいた方が、出版経費の回収に若干有利なこともご理解願います。

最後の方は少々格好悪い話になってしまいました。
とにかく、「写真集持ってますよ。いいですねえ。」とか言われると本当に嬉しく思います。また、手厳しい意見にはがっかりさせられますが、これからの精進にはなくてはならないものです。
今度の写真集と作品展、ぜひご高覧の上、ご批評を賜りたく思います。


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