写真集出版記念

白山花模様 2002年

2002年8月1日〜6日
電力プラザ「エルフ金沢」ギャラリーA
後援/北國新聞社・テレビ金沢・エフエム石川・北陸放送





ごあいさつ



長く白山とつき合ってきましたが、今までの撮影では未知や困難、大きな風景に向かって、ただがむしゃらにぶつかっていったような気がします。しかし数年前から、少し別のスタンスで白山と対峙したら、新しい表現ができるのではないかと思うようになってきました。

この作品展は、今までは気になっても後回しにしていた、足下の花をテーマにしています。私にとっては初めての試みです。

高山植物は今まで、どちらかというと図鑑的な撮り方がされてきました。高山という特殊な環境に咲いているため、そのまま撮るだけでも、人の心を打つことができるのです。しかしそのような撮り方では、どんなに美しく撮影できたとしても、悪く言えば誰が撮っても同じような写真になりがちです。そのせいでしょうか、高山植物の図鑑はたくさん出版されていますが、作品集は少ないのが現状です。私はこのことに気が付いたとき、高山植物においては、新しい写真表現ができる可能性が残されていると思いました。

すでに温室や花壇に咲く花では、柔軟な表現で多くの作品が発表されています。しかし高山植物にこのやりかたをそのまま適用するのは無理があります。極端な例ですが、高山植物を採ってきてスタジオで撮影すると、高山に咲く花を題材にする意味がなくなってしまいます。

私のテーマは、白山の高山植物を通じて自己表現を行うことに加えて、白山に咲く花でなければ表現できない何かを撮ることでした。このようなことを考えて、試行錯誤してきました。

この作品展と写真集「白山花模様」は、この試行錯誤の一つの区切りです。花の実物と私の作品とを比べると、その違いに驚かれるかもしれません。しかし、これらの作品は、私の思いと私が見たものをそのまま表現しようとしたものです。

木村芳文







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