白山写真ギャラリー

第1回個展までのこと 2001/01/07

白山の写真を撮り始めてから、もう12年ほどになります。
「どうして白山の写真を撮っているのですか?」と、よく聞かれますが、いつも答えに困ります。大した理由はありません。初めて白山を歩いたのと、写真に興味を持った頃が一致していたからと言うのが、直接的なきっかけだと思います。あとは、自然にこうなったのです。

当時住んでいた大阪から、近くはありませんが最も気軽に高山気分を味わえる位置に白山がありました。もし、白山がもう少し遠かったら、ここまで白山にのめり込むことにはならなかったと思います。元々白山のようななだらかな山容が好きだったので、当時の私は興味を持ったばかりの写真で白山を捉えてみたいと自然に思いました。

その時の私は、写真家としてはど素人でしたから、白山は写真になりにくい山だとかいった分別は微塵もなく、ただ気に入ったから撮るといった単純な動機で、暇を見つけては白山を訪れていました。
元来、組織に加わったり人に教わるのが苦手な私だったので、自分の状況を客観的に見ることもできません。どこかの写真クラブにでも入っていたら、白山以外のもっと写真向きの山に興味が移ったかもしれませんが、そういうふうにはならず、素人写真家の白山登山は愚直に続きました。

同じところばかりに通っていると、自然に人のつながりもできます。今は多少世慣したつもりですが、当時の私は人付き合いが下手でした。ですから、そういった人とのつながりは新鮮で大事なものに感じました。

人間は人を見て自分を知ることができます。私はただ気の赴くままに白山を訪れていただけですが、北陸の知人を通して、自分は白山近辺に住んでいる人と比較しても、より頻繁に白山に訪れ、撮り続けていることに気がつきました。また、有名な山岳写真コンテストに入選したりもしました。
「白山の写真では、ちょっとレベルが高いぞ」と少々とくいになった頃です。その勢いで1995年夏、第1回目の個展を金沢で開催しました。

今思えば、よくあの写真で個展をやったなあと感じます。
ぱっとしない個展でしたが、それ故に得るものは多くありました。自分の思い上がりと、人の評価の厳しさに気がついたことが一番の収穫でした。


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